最近、ミニマリストってよく聞くけど…
茶道のブログと関係あるの?
ミニマリズムとは?
最近よく耳にするようになった”ミニマリズム”という言葉をご存じでしょうか?
「必要最小限の物しか持たないライフスタイル」のことを意味します。
そういった生活を実践する人のことを” ミニマリスト”と呼び、”ミニマリストYouTuber”という人たちもいるみたいです。
ところで、茶道とミニマリズムには深い関係があります。
今回は茶道の世界を確立した千利休にスポットを当ててみます。
まずは、お道具や茶室などから考察してみたいと思います。
茶道の中のミニマリズム的な考え
茶道具(利休形・利休好み)
お道具のデザインはどのように考えていたのでしょうか?
有名なものには次のようなものがあります。
- 楽茶碗(手づくねで作られており、茶のぬくもり・静けさ)
- 茶杓や竹花入(利休自身が竹で作ったもの なみだ・ゆがみ)
- 桂川籠花入(本来の用途とは違う、別のものとして使う)
利休が好んだデザインは、まさにシンプル。柄はほとんどなし。
余計なものをすべて削ぎ落とした”ミニマリズム”ですね。
空間~待庵~
次に、利休は建築・空間をどのように考えていたのでしょうか?
利休は「待庵(たいあん)」という茶室の傑作を作りました。
すでに、16世紀後半のことです。
たった2畳という狭さの空間で、侘びを立体的に表現しています。
草庵茶室は質素で余計なものがなく、ただ美味しいお茶を淹れるための道具があるだけの空間です。
必要なものを最小限に抑えてムダがなく美しい、まさに”ミニマリズム”ですね。
利休七則とは
では次は、利休の茶の心得を示した教条である”利休七則”を詳しくみていきましょう。
茶人というのは、人をもてなす心を忘れてはいけない、ということですね。
1.茶は服のよきように点て
出典:利休七則『南方録』より引用、以下同じ
現代風にいうと、「飲む人にとって良い加減の茶を点てなさい」という意味になります。
自分が理想とする茶を相手に押し付けるのではなく、飲む人の気持ちになって茶を点てなさい、と。
自分のやりやすさや効率性ばかりでなく、相手が「何を求めているか」をよく考えることです。
2.炭は湯の沸くように置き
茶道では、炭点前といって炭でお湯を沸かす流れがあります。
炭の置き方で火力を一定に調節し、湯を適温に保たなければなりません。
表面では見えない裏方の仕事でも、要点をしっかりとおさえて準備することが大事ということです。
3.花は野にあるように
茶室に添える花は、「野に咲いているように生けなさい」と利休は説いています。
ただの「あるがまま」ではなく、装飾でもなく、自然に咲いているような素材の美しさを引き出すように、ということです。 手折った花に対する敬意にもなります。
4.夏は涼しく冬あたたかに
夏には路地に打ち水をしたり、冬にはお菓子を温めてみたりして心地よい空間を提供することも重要だったんですね。
自分のことばかりでなく、相手を思いやる気配りがあってこそできる工夫です。
5.刻限は早めに
時間に余裕をもって行動することで気持ちにゆとりが生まれ、心のこもった「おもてなし」につながるという教訓です。
自分の中に余裕があるからこそ「おもてなし」の心が生まれるんですね。
ゆとり、大事です。
6.降らずとも傘の用意
雨が降ってから傘の用意をするのではなく、あらゆる状況に対して客人に余計な心配をさせないようにしなさい、という利休の教えです。
これは自分の心配を払拭して安心するためではなく、相手に余計な心配をさせないようにということです。
7.相客に心せよ
客同士が互いに気を配り合うことで平穏や調和が生まれ、すべての人にとって特別な時間になるという利休の教えになります。
お客さまへの一方的なおもてなしだけでなく、お互いに尊重し合うことで、ひとつの空気が生まれる。
だからこそ、「一期一会」という言葉もあるように、お茶は亭主(もてなす人)にとっても客人にとっても、特別な時間・空間となるんですね。
やはり40歳を超えると、徐々に人生をくだっていくわけですので、あと何回○○ができるだろうなどと考えることがあります。あと何回○○できるか、あと何回○○と会えるか。
その一回一回を大切にしていきたいですね。
まとめ: 茶道は日本の伝統的なミニマリズムである
利休(侘び茶)の教えは、ミニマム&シンプルの極致だと思いませんか?
お点前には無駄な動きがなく、お道具にも無駄な過度の装飾やデザインが存在しません。
茶室も本当に必要なものだけをそろえた、贅沢とは程遠い空間です。
そのような、無駄のない空間・時間・モノ・動きの中で、亭主は利休七則の教えに従い客人をもてなします。
季節であったり思いを、掛け軸や花、棚、茶碗、お菓子などで伝えます。
そのようにして、一期一会のお茶会として完成するんですね。
利休七則は表面的な言葉の意味だけであれば、子供でもわかるような感じです。
しかし、年を重ねても、実際に行動するのは難しい。
遠い親戚から心のない言葉をかけられたりしたことが、どなたでもありませんか?
ミニマリズム=モノを持たない暮らし。
ですが、わたしが理想としているのは、モノだけを極端に減らす生活ではありません。
利休が道具や茶室を愛していたように、私もギターや電子ピアノなど自分で選びぬいたモノは大切にしていきたいです。
精神的にも、無駄を省き余計な考えは捨てて、ミニマルにいきたいです!
ただし、茶道を通して利休から教わった、人とのつながり、人への気遣いを忘れずに。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。
みなさんも「茶禅的ミニマリズム」を目指しませんか?
茶道って、「上品・おしとやか」よりも「凛として・カッコイイ」ものだと思っています。
ぜひ、茶道を始めてみませんか??